FIVE COLOR[S]INK ⼀級建築⼠事務所|⼤阪市⻄区北堀江

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【建築家    所長のきろく】

見極めろ

学生たちの口からいよいよ「就職」「就活」の言葉が聞こえるようになった。
君たちに言っておきたいことがある。

建築は「専門職という『仕事』の上に成り立つ日常芸術活動」である。

まずはこの、専門職であり、『仕事』であることを忘れてはいけない。
『仕事』ということは君たちが生きていくため、
ご飯を食べていくための『生業』なのだ。

君たちの中には建築を、特に設計をアートと勘違いしている人もいるようだが、忘れてはいけない。
建築は純粋なアートではない。ここを間違えるとアプローチを間違える。仕事なのだ。

そして専門性の強い仕事であるということ。

専門性が強いということはどういうことか。わかるかな。
ある一定の技術や知識を習得するのに時間と労力がかかるということだ。

ではその技術や知識は誰が教えてくれる?
君たちが就職した先の所長なり、上司なり、君たちよりも先にこの世界で活躍する先達だろう。
これはつまり、君たちが「誰に(どこに)教わるか(就職するか)」が
君たちのこれからの建築人生に大きく影響するということになるのだ。

習得するのに時間と労力のかかることを君たちはこれからお給料という
お金をもらいながら教えてもらうことになる。
裏を返せば先輩たちは自分たちが自らの力で獲得してきたものを無償で、
いや、お金を払いながら提供してくれるのだ。

言っておくが、これは美談ではない。
タダより怖い物はない。という話だ。タダどころかお金をもらっている。

だいたいそう易々とは教えてくれない。教えてくれても核心は教えてくれない。
もっとうがった見方をしていいかもしれない。
教えてくれるのは君たちの将来を考えているからではない。
組織の戦力として少しでも早く使い物になってもらわないと困るから教えるのだ。

いいかい? よく聞いておけ。
みんながみんな「教育」や「育成」を念頭に置いて教えているわけではない。
「使い物」になってもらわないと困るのだ。
お金ばっかりが出ていく。
お金を稼いでくれるくらいの力が付くまで5年はかかる。
早い人で3年。だから少しでも早く成長してほしいのだ。
稼いでくれなくちゃ困るのだ。

もちろんそんな世知辛いことばかりではない。
しっかりと君たちの将来を考え教えてくれる先輩たちもいる。
つまり、「君たちの将来を考え『育成』の心を持った人」に師事しろということだ。
君たちの人生に関わることだ。

焦るな。
急いては事を仕損じるという諺がある。
じっくり慎重に選ぶことだ。時間はまだある。


そしてもうひとつ。
行きたい方向があるなら「その方向を目指して」切り込め。

例えば君たちが落語家になりたいとする。
プロの落語家と趣味で落語をやってる人とどっちに弟子入りした方が勉強になるか。

プロの落語家に弟子入りした方が勉強になるに決まっている。
まず環境が違う。プロの落語家の環境と趣味の落語家の環境では大きく異なるのはわかるだろ。
肌で感じる空気感はとても大事だ。

君たちに目指したいものがあるのなら、ちゃんとその目指す世界で活動している人に
しっかりと師事しろということだ。「まがい者」に教わっても「まがい者二世」になるだけだ。

つまり、見極めろ。
君たちの人生だ。
どの道に進むのかと同じくらい大事なことだ。誰に師事するか。

まがい者は巷にあふれている。とくに今は簡単に着飾ることができる。
まあ騙されたなら騙されたでいい。早めに気づいて己の未熟さと見る目の無さに
絶望しながら、所詮自分はその程度だと自分の鼻を抓んで新たな希望で次に行けばいい。
おのれの未熟さから目をそらしてダラダラと同じ世界を彷徨うな。

時間の経過とつかみ取れるチャンスの数は反比例する。
時間が経てば経つほど自分の行きたい方向に体を向けるのが大変になる。
そして、時間が経てばチャンスをモノにするための自力と他力の関係が逆転する。
そのうち自分の力だけではどうしょうもなくなる。
強力なサポートや引き上げてくれる他力が必要になる。
果たしてどれだけ強力なサポートを得られると思うか?
だったら自力でつかみ取れるうちにつかみ取れ。

やりたいことがあるならそれに向かってスパッと切り込んでいけ。見極めろ。 中島崚真




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