FIVE COLOR[S]INK ⼀級建築⼠事務所|⼤阪市⻄区北堀江

BLOG

【ナカシマリョウマのくだらない話】

そしてあさひはまた昇る

あさひが去った。
10月の1か月間をインターンとして事務所で学びそして去った。

彼の誕生日は10月15日。10月の真ん中だ。
彼が事務所に初めて顔を出した日は19歳。
そして彼が事務所を後にした日はすでに20歳になっていた。

彼の10代最後の2週間と20代最初の2週間を過ごしたことになる。
つまり我々は一人の人間が子供から大人になる瞬間に立ち会った訳だ。

きっと刺激の多い1か月だったと思う。
近しい年齢のスタッフやアルバイト、同じ学生がそばにいたし、経験を積んだ大人がいた。
環境は人に大きく影響する。その環境が刺激的だったはずだ。

彼はインテリアデザイナー志望だ。道はまだまだ長い。そして険しい。
この先の道の方が山があり谷があり、日照りも続くし大雨も降る。

どんなデザイナーになるのか。

その彼の思想の中に我々の言動のひとつでも
なにかしらの影響があるのであればそれはいいことだ。
ならば我々先達は影響が少なからずあることを心して後人に伝えなければならない。

模型を作り、図面を描き、現場に行き、素材に触れる。
その活動の中でやりとりしたことの触れ合いが彼の血肉になって欲しい。

そして我々も大いに刺激を受けた。
刺激的で情熱的なあっという間の1か月だった。

11月が訪れ、朝晩は過ごしやすい気候になった。すこし暖かいくらいだ。
窓からこぼれる陽の光が心地い目覚めを誘う。
そのあたたかな陽だまりの中で我々もグズグズとはしていられない。
いよいよまた新しい年に向かって目標を定め、下がることなくひとつひとつ歩みを進めていく時だ。

騒がしいほどの日常とさわやかな風を残してあさひは去った。
日暮れも早くなり、秋枯れの空と恋しい季節の香りが街を染めていく。
もうすぐ冬が訪れる。寒い季節の準備が必要だ。

そしてあさひはまた昇る。
いつかデザイナーとして大きく成長し、あたたかな光を放ってくれるだろう。



中島崚真