FIVE COLOR[S]INK ⼀級建築⼠事務所|⼤阪市⻄区北堀江

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【ナカシマリョウマのくだらない話】

空間の重要性 大阪市 設計事務所の注文住宅や店舗設計

オンラインが進んだことで、改めて場所性が重要になった気がする。
これまでは不動産ありきの世の中だった。
つまりある土地が存在し、その土地がどこにあるのか。もしくは近くに何があるのか。
土地の価値を決めるエレメントはごく近隣周辺との関係性であり、それは利便性によって成り立っていた。

しかし、物流網が発達して、デジタル化が進み、オンラインも定着しつつある今、
近隣周辺との関係性が示す利便性は重要ではなくなっている。

人間の幸福とはなにかと問うた時、それはその人が人生において満足感を得るかどうかである。
そして満足感のボリュームとベクトルは人によって大きく異なる。

今世紀は環境の世紀だと言われて久しい。環境というとあたかも地球そのものの問題のように思う。
しかし地球は太古の昔も現代も変わりなく回り続けている。
地球や宇宙に意識を置いたとき、その時間軸は人間のそれとはあまりにもかけ離れていて想像もつかない。
となると環境という言葉を遥か彼方から広がる暗黒空間の時間軸で考えることはあまりにナンセンスだ。
では環境とはなにか。その答えは「人」である。人が環境であり、環境は人が作るのである。

環境の世紀とは「人」の世紀なのだ。

環境は人間が作るものであるのならば、いかようにでもなるという事である。
私は冒頭に場所性が重要になったと言った。
その意味は不動産としての既存の価値基準が重要になったということではない。

生きる人間ひとりひとりの個性と感性に合う場所を選ぶことが大事なのだ。
あなたの心が満足しうる場所とわたしの心が満足しうる場所は違う。
全体主義としての価値ではなく、生きる個人にゆだねられた価値である。

デジタル社会が進みバーチャル世界に注目が集まっているが、
人間はアナログでありマテリアルなものだ。
デジタルでバーチャルを生み出す人間だからこそ、その人間が身を置く空間の重要性は高まる。

どこにどういった空間を作るのか。その空間に対する思いとか考えとかストーリーとか。
そういったものが重要な世の中になる。 
これまでの価値観で場所を選択してはいけない。 
これまでの価値観で空間を見つめては間違う     中島崚真